なぜ商品先物が存在しているか
さて、なぜ商品先物というものが存在しているのでしょうか?
ここでは、商品先物の存在意義について見ていきます。
ヘッジと商品先物
資本主義経済においては、誰でもご存知の通り私たちの身近なモノの値段は一定でなく、日々変動しています。
価格変動の原因は、流通事情や為替の変動、天候等による作柄の出来・不出来など様々な理由が、関係していますが、この価格変動によって、生産者やメーカー、流通業者、消費者が、思わぬ損失を被ることがあります。
そこで価格変動リスクに対する保険ニーズが発生します。
しかし、商品先物では、通常の生命保険等に見られる、多数の人が、保険をかけて、偶発的に発生する少数の人たちの損害を補償する制度では、ロス・レシオ(ロス率)が大き過ぎて保険自体が成り立ちません。
それは、価格変動リスク自体が、価格の値上がり、値下がり、特に値下がりでは、取引関係者の多くが損失を被るからです。
そこで考案されたのが、先物取引を活用したヘッジ(保険つなぎ)の手法です。
現物取引で買い付けたものは先物市場で売りつないで(売りヘッジ)おき、現物市場で売り付けたものは先物市場で買いつないで(買いヘッジ)おくのです。
そうすると、その後価格が変動しても、現物取引の損益と先物取引の損益は相反し、相殺されるので、価格変動リスクが解消されるのです。
ヘッジの例
たとえば、商品の生産者である農家が豊作を予想したとき、価格の下落を恐れ、現在の価格水準で利益を確保したいと考えて先物を売るのです。
予想通り豊作で価格が、下落した場合、商品からの利益は少なくなりますが、その分売っていた先物が利益を上げてくれます。
仮にもし、自由経済市場にこのヘッジ機能がなければ、抱え込んだ在庫が値下がりによりいつ損失を被るかわからないため、生産者や流通業者などは、夜もおちおち眠ることができなくなるでしょう。