在庫費用削減の場
商品先物取引のメリットとして、一般的にはあまり知られていない方法があります。
それが、「在庫費用削減の場」として利用する方法です。
最も多いのは、季節によって消費量が大きく異なる商品の場合です。
その象徴的な例として、灯油、ガソリンを挙げることができるでしょう。
現受け
商品先物取引の決済方法には「差金決済」と、もう一つ「現受け」といって「実際に取引している商品の現物を受け取る」という決済方法があります。
納会日(決済期限となる最終取引日)の後に取引している量の総代金(ガソリンなら50キロリットル分、トウモロコシなら100トン分)を払って実際の現物商品を受け取るというものです。
しかし、実際には、その商品で商売を行っている関係者や商社でなければ、この「現受け」を利用する投資家はほとんどいません
在庫費用削減としての商品先物取引
この「現受け」を利用する業者や商社メリットですが、それは、在庫費用削減となります。
その点を、灯油、ガソリンを例にとって詳しく見ていきましょう。
灯油は夏場と冬場では消費量が3~4倍違うといわれています。
そのようなわけで、需給の関係により、夏場は当然、冬場よりも灯油の価格が、安いと考えられますので、夏場に在庫を持って冬場に備えておけばいいかと言いますかというとそうは、行きません。
なぜなら、冬場に備えて夏場から在庫を持っていれば、備蓄タンクの建設費用、在庫の保有に伴ってランニングコストが増えるからです。
そこで、商品先物取引を利用するのです。
具体的には、消費が少ない夏場に商品先物市場で11~1月決済モノを買っておきます。
決済時期になって現物市場で安く灯油が手に入れば、買っていたものを手仕舞う(差金決済する)こともできますし、もし、寒冬や戦争など不測の事態が起こって灯油が足りないとなれば、そのまま受け取ることもできます。
需要期になって受け取った場合は、夏場に備蓄用のタンクを作る必要がなく、その建設費用や保有費用を削減できます。
また、燃油サーチャージ軽減の為に、航空会社が、需要期に向け、海外からガソリンを輸入して在庫削減を図るという方法もあります。
その場合も、海外で購入予約をした時に、商品先物取引で売っておけば、ガソリンが日本に着いた時に価格が下がったとしても安心です。
これは、備蓄対策とリスクヘッジを兼ねた方法といえるでしょう。